2026年1月26日、金価格が史上初めて1オンス=5,000ドルを突破しました。この出来事は、単なる「金が値上がりしたニュース」ではありません。背景には、アメリカドルをはじめとして、FRBや日本銀行等の世界の中央銀行法定通貨への信頼低下があり、世界的に実物資産へ資金が移動している流れが見て取れます。
本記事では、投資初心者の方にも分かりやすく、なぜ今「実物資産」や「ビットコイン」が注目されているのかを解説します。
法定通貨はなぜ価値を失いやすいのか
まず理解しておきたいのは、現在使われている法定通貨の仕組みです。円やドルは金と交換できるわけではなく、政府と中央銀行の信用によって成り立っています。そして最大の特徴は、理論上いくらでも発行できるという点です。
経済対策や財政赤字の補填のため、通貨供給量は増え続けています。通貨の量が増えれば、1単位あたりの価値は薄まります。これが最近の世界的なインフレの正体です。いくらでも通貨が発行されてしまうため、価値は薄まり、物価は上昇します。
つまり、法定通貨は短期的な決済手段としては便利ですが、長期間保有する「価値の保存手段」としては不安定なのです。
実物資産が「価値を保存できる」理由
金・銀・プラチナなどの実物資産は、人の都合で増やすことができません。採掘量には限界があり、地球上に存在する総量もほぼ決まっています。
この「希少性」こそが、実物資産の最大の強みです。通貨が増え続ける一方で、増えない資産は相対的に価値が上がります。金価格が長期的に上昇してきたのは、決して偶然ではありません。
限りある時間と無限に刷れるお金の矛盾
ここで、少し本質的な話をします。アメリカが主導して世界に広めた新自由主義(ネオリベラリズム)経済とは、政府の介入を最小限にし、規制緩和や民営化、自由競争によって経済の活性化を目指す思想です。市場原理を重視し、一見公平な競争に見えますが、格差拡大や貧富の差が大きな問題点として挙げられます。
新自由主義の表現を変えると、中央銀行が発行する権利を持つ通貨を世界の人々に奪い合わせるゲームみたいなものです。私たちは自分の限りある人生の時間を使って働き、その対価としてお金を受け取っています。しかし、そのお金は無限に発行でき、発行者は金利で永久に儲かることができます。おかしいと思いませんか?
冷静に考えると、これは非常に不公平な交換です。だからこそ、労働で得たお金をそのまま通貨の形で長く持ち続けることは、大きなリスクになります。
重要なのは、できるだけ早く価値が保存される資産に換えることです。
日本円は比較的信用されているため、実感しにくいかもしれません。しかし、通貨が信用されない国では、給料をもらったらすぐに金やドル、実物資産に換える行動は一般的です。
これは投資や投機ではなく、「生活防衛」です。通貨を信用しないという選択は、世界では決して特別なことではありません。
ビットコインは「デジタル実物資産」である
ここで注目すべきなのがビットコインです。ビットコインはデジタル資産ですが、発行上限が2,100万枚とプログラム上で厳格に決められています。
誰かの判断で増やすことはできません。この点において、ビットコインは金と非常によく似た性質を持っています。
「実物ではないから価値がない」のではなく、増やせない仕組みがあるから価値があるのです。
また、金とビットコインは、しばしば比較されますが、本質的には同じ方向を向いています。どちらも「通貨の価値低下に対する防衛手段」です。
金は長い歴史と実績があり、ビットコインはデジタル時代に最適化されています。どちらか一方に賭けるのではなく、分散して持つという考え方も有効でしょう。
実物資産投資で意識すべきこと
意識すべきなのは、短期的な値上がりではありません。重要なのは「自分の労働価値を守る」ことです。
・すべてを通貨で持たない
・増やせない資産を一部でも保有する
・長期目線で考える
これだけでも、資産防衛の考え方は大きく変わります。
まとめ|金価格5,000ドルは始まりに過ぎない
金価格5,000ドル突破は、通貨中心の価値観が限界に近づいているサインかもしれません。いくらでも発行できる通貨や、膨張させすぎた信用創造はやがてはじけ、そして縮小していく流れの中で実物資産に回帰していく動きは今後さらに強まるはずです。実物資産、そしてビットコインのような発行上限のある資産は、これからの時代において「労働の価値を保存する器」として、ますます重要になるでしょう。
何を信じ、何に価値を預けるのか。今こそ、真剣に考えるタイミングです。
